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ご挨拶

人形劇団ひとみ座代表より、2023年 年頭ご挨拶

新年明けましておめでとうございます

人形劇団ひとみ座は今年75周年を迎えます。これも皆様のあたたかいご支援のおかげと心より感謝申し上げます。

パンデミックが報道されて3年、公演の中止や延期もある中、昨年は1月に「おしいれのぼうけん」、3月「ふしぎ駄菓子屋銭天堂」、8月「シュレミールと小さな潜水艦」と新作発表にのぞみ、小学校公演では「9月0日大冒険」は好評のうちに上演を続けております。松本美里ひとり人形劇「おしいれのぼうけん」は来年度全国子ども・親子劇場の採択数がが一位となりました。その他にもろう者と聴こえる人のユニットであるデフ・パペットシアター・ひとみの新作「百物語」は3月に上演されも高い評価を得て12月に再演されました。地域の子どもたちが参加する「乙女文楽教室」は10年続いており、乙女文楽の自主公演、幼稚園・保育園・こども園での幼児劇場での公演活動はやむことなく、ひとみ座寄席を楽しむ会、川崎フロンターレの地域貢献活動に参加など地域の方との活動も続けられてきました。テレビなどの映像関係も劇団活動にも期待が寄せられた一年でした。

人形劇を観ている子どもたちは乳幼児から就学児まで、劇の中の人形の気持ちを想像しながら見ている様子がうかがえます。周りにいる子どもたちと顔を見合って笑い合って楽しさを共有しています。子どもたちに混じって人形劇を観ていると、それはそれは幸せな気持ちになります。世の中が健康で、平和でなければ作り得ない尊い時間です。それは数字で表せるものではなく、人と人との交わりによってさらに私たちが生きていく糧になっていくものです。このことをあらためて実感した3年間でした。

ロシアのウクライナへの軍事侵攻からまもなく1年、私たちは何もできない状況です。日本も同じように「平和のために」と、武力を増やしていく方向で進んでいこうとしています。コロナ禍で人と人とのつながりが大事さが見直された今、進もうとしている方向は本当にいいのでしょうか?平和への道筋には武力がなければならないのでしょうか?そんなことを言っていられない状況下にあるという意見もありその声が大きくなることに危惧を感じます。
奇しくも、昨年夏に制作した「シュレミールと小さな潜水艦」は人間たちが始めた争いを人間たちが解決し得ないところに人工知能AIが反目する物語で時代を切り取った、問題提起をしている作品になりました。私たちは人形劇を上演できているこの状況を噛み締めながら活動していく一年になりそうです。

3月に私たちが取り組む75周年記念公演プレ企画「モモ」と「どんぐりくらぶ」では「時間」や「モノ」の価値とは?というテーマを内包した作品に仕上げていきます。この一年も人形劇を通して創られる人と人とのつながりに希望を見出して前に進んで参ります。2023年、ひとみ座の活動にご期待ください!

今年も人形劇団ひとみ座をどうぞよろしくお願いいたします。

2023年1月 ひとみ座代表中村孝男