ご挨拶



私たちの表現活動のキーワードは想像力です。

モノである人形が、息をしているように思えた時、自分をじっと見ているように思えた時、
地面を踏みしめて立ち上がったと見えた時、希望に燃えて空を見上げたように思えた時、
人形とみている人がつながって、心が動きます。これは見ている人の想像力のたまものです。
見ている人が人形に息を吹き込みます。

我々人形遣いはより豊かな想像力を喚起させるような表現が求められます。
それは技術ですが、その表現の源はやはり想像力です。
人はうれしい時どんな歩き方をするだろう。悲しい時は背中はどうなってる?
ではこの人形が嬉しいと感じたら?悲しい時は?びっくりして何も言えないときの息遣いは?
など、様々な想像をしてそれを積み上げて劇を作ります。

なかなか完璧にはいかない難しい作業です。しかし、その細かい正確な積み重ねで、
質の良い劇空間が創られると信じています。考えてみれば、人も想像力で補いながら生きてい
く力を作っているのかも知れません。

架空のものを信じる心があるから、生きていくことが楽しく感じられるのだと思います。
そして、心から楽しんでいる人を見ると、なぜか楽しい。楽しいと元気になる。
大人が元気だと、子供たちは安心する。子供たちの笑う姿は更に楽しい。

こんな、良い連鎖を少しでも多く作るべく、今年もひとみ座は人形劇を発信してまいります。


人形劇団ひとみ座代表 中村孝男